台所通信 Vol53

「山菜について」

小さい頃から山菜は食べさせられたきたけれど、大人になってこの
「山菜」の有り難さが身に染みるようになった。特に歳を重ねてから
は他には何もいらないから、この山菜だけでいいと思うようになりま
した。 
 第一位はやっぱりワラビでしょうか。ワラビは叩くと粘り気のある
繊維質のものが、季節になると食べたくなります。
秋田の姉から送られてくるあのワラビは毎年楽しみで、近くの直売所
で売られている物を買ってきても、あの姉のワラビに到底及ばないの
です。新鮮さは勿論ですが、粘り気が全然違います。何故でしょう?
 第二位にあげられるのはミズです。別名ウワバミソウです。ところ
によってはミズナとか言いますが、この言い方が私を混乱させました。
こちらでもミズナというらしく、私の探している「ミズ」はなかった
訳です。あの京菜の事かと思いこんでいて(私が)よくよく話を聞いて
みたら「なあ〜んだ、ミズの事だったのね。」この話を聞いた直売所
のおばさんと大笑いでした。
 秋口になると茎と葉の付け根に小さな丸いムカゴ状の実がつくので
すが、それがまた美味しいのです。秋田では「ミズのコブっ子」と言
って、それをキュウリや茄子、茗荷などと一緒に味噌に漬け込んだも
のを夏の暑い盛りに水で冷やしたご飯にかけて、冷たい水とともに
かっこみます。勿論塩引きのあの塩っぱい鮭もあればなおいいですが
・・・。ミズは食欲の落ちる夏にはもってこいの食材。春から秋まで
約半年にわたって美味しく食べられます。クセもなくどんな料理にも
合います。実用的には「山菜の王様」と呼んでもいいと思います。
薬用的にも栄養価が高く、ビタミンB1・B2・Cやミネラルを多く含み
風邪・がん予防・抗酸化作用・解毒作用があるとされています。

                                    

「保山耕一さんという人」

フェイスブックで出会った映像作家の「保山耕一」さん。元テレビカメラマンと
して、第一線で活躍し数多くのドキュメンタリーを手がけた方です。
2013年に直腸がんと診断され、治療を続けながら奈良県各地の撮影を始め
現在は映像作家として活動。YouTubeにて「奈良・時の雫」を公開中。YouTube
で映像を見た時一度でフアンになりました。
 それから病をおして時々アップされる映像に癒やされています。自らの命と
向き合いながら、自然が見せる一瞬の輝きを映像に収め続け「奈良・興福寺」の
映像は福島県会津県立博物館で開催された「興福寺」が開催された時も映像提供
されました。フェイスブックで病状の悪化でとても苦しい日をお過ごしだと吐露
されている時期もありました。しかし、とても信念を持って奈良の風景を撮り
続けています。息を飲むような風景、ご自分の命を削るかのような映像です。
 最後まで現役で撮り続けようとするその姿は、最後まで現役教師であろうとした
兄と最後まで百姓であった長兄に重なるのです。まだまだやらなければいけないの
だと、映像を撮り続ける姿勢には、時には「もう楽にしてゆっくり静養すればいい
のに」と思う反面、「素晴らしい映像をいつまでも見たい」という願望が交差し
ます。とても「頑張って❢」とは言えないが・・・。



                                     

「老いる」ということ

 夫婦共に69歳、64歳と「老い」という事を実感するこの頃。
池内紀 著「すごいトシヨリBOOK」という本に掲載された老いの
観察録・老化早見表というものがあって、それをみていると夫婦共に
「ある、ある」と頷く。カテゴリー3➡2➡1と老化が進んでいくの
だそうで・・・

(カテゴリー1)
 ① 失名症・・・人の名前は分かっていても名前が出てこない
 ② 整理整頓症・細かいものを整理整頓しないと落ち着かない
 ③ 横取り症・・人の話を横取りする
 ④ 過去すり替え症・・過去の話を美化して変えてしまう
 ⑤ せかせか症・・・常にせかせかしている
 ⑥ 一時的記憶脱落症・・一時的に記憶が脱落する
 ⑦ 同一志向性・・・自分の決めた所以外に物を置かれると不愉快になる

(カテゴリー2)・・・悲しいかな老化が進行中
 ① 記憶脱落症・・・一時的記憶脱落症の「一時的」が取れた状態
 ② 年齢執着症・・・年齢に執着する
 ③ 指図分裂症・・・人に指図したがるが、人から指図されたくない
 ④ 失語症・・・・・失名症の進行形。言葉自体が出てこない
 ⑤ 過去捏造症・・・「過去すり替え症」の進行形。過去を捏造し、事実
           だと思い込む。自分の話に感動し泣くことも。

(カテゴリー3)
 忘却忘却症・・・忘れたことを忘れてしまう(病の兆候)

                                    

[編集後記]
 ここのところ急に涼しくなったり、また暑さがぶり返してきたりと温度差
に体調も悪くなりがちです。台風の爪痕が痛々しく千葉で発生したほぼ全域
での停電には本当に為す術もないようです。一日も早い復旧を望みます。
 ここ数年、自然災害が起きるととても大きな災害に発展してしまうのは、やはり
地球温暖化と何か関係があるのでしょうか? 福島県はあの東日本大震災の傷も
まだ癒えていないのです。そこへ追い打ちをかけるような大きな災害は避けたい
ものです。「備え」は大事ですね。せめて「水」は何本か家庭で備えておきたい
ものです。そして、食べるものに窮したら「山菜」を知っておくのも一つの
「手立て」かもしれませんね。

[編集責任者 湯浅美和子]


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